モンリクーは古い歴史を持つ土地です。町自体は中世にできましたが、この平原には先史時代から人が住み着いていました。その近郊にあるフェルム・ド・ラ・プラン農場では、75ヘクタールの広大な敷地でアキテーヌ産ブロンド牛と家禽を飼育しています。75ヘクタールのうち30ヘクタールでは家畜の飼料となる穀物を栽培しているため、ある程度の自給自足が可能です。ちなみにフランス国内では、家畜の飼料(牧草や穀物など)の84%が同じ農場で生産されています。

フェルム・ド・ラ・プランの農場主であるギヨーム・オデュイ氏は、責任を持って牛たちの健康を管理しています。牛の生活サイクルに合わせて、彼の1日は早朝から始まります。アキテーヌ産ブロンド牛は、特徴的な金の毛色から名付けられた比較的新しい品種で、フランス南西部に生育する3つの既存品種(ガロネ種、ケルシー種、ブロンド・デ・ピレネー種)の交配によって1962年に誕生しました。穏やかな性格で落ち着いた気質なので、比較的扱いやすい品種です。しかし、出産シーズンになると、ギヨーム氏の細やかな心配りが欠かせません。
テイスト・フランスのインタビューでギヨーム氏は次のように述べています。「アキテーヌ産ブロンド牛は繁殖力のある品種で、出産も比較的スムーズです。母親としての資質も高く、子牛を可愛がって大切に育てます」
フランスの農場では、平均して60頭ほどの牛を飼育していますが、ギヨーム氏が飼っているのは30頭。肉の品質に影響を与える要素として、牛の幸福度を最大限に高めたいという思いがあるからです。

適応力のある品種
フランスにおける牛の飼育頭数はヨーロッパ最大です。リムーザン種、シャロレー種、アキテーヌ産ブロンド牛という有名な3品種を中心に1,800万頭の牛が14万2,500軒の小規模農場で飼育されています。
アキテーヌ産ブロンド牛は穏やかな気質で適応力があり、肉質が良いことで知られています。暑さにも寒さにも強いため、いまやポルトガルの陽光あふれる地域からカナダの雪深い地域まで、世界各地で飼育されています。
生育地がどこであれ、飼料となる牧草に大麦などの穀物やアルファルファ、クローバーを補っているため、肉質が柔らかく脂肪分が少なく、くせのない味わいの「ノーブルカット」が多く取れます。ハンバーガーはもちろん、ミシュランの星を獲得したジョエル・ロブションのマッシュポテトにもぴったりです。メドック産の赤ワインとは特に相性が良く、ロックフォールやマッシュルーム、エシャロット、赤ワインソースなど、アーシーな風味の料理にもよく合います。
幸せな牛からはより良い牛肉が生まれます。そのため、この農場では広々とした牧草地で牛を放し飼いにし、必要に応じて利用できる居心地の良い牛舎を用意します。
「牛たちは農場内にあるいくつもの放牧地で、いつでも新鮮な牧草を食べることができます」(ギヨーム氏・談)

高い評価を受けるフランスの牧場
フランスは、反芻動物の飼育に関して、持続可能で責任ある生産の手本となっています。動物福祉を重視し、牧草を主な飼料としているため、工業レベルの大規模な飼育は推奨されていません。むしろ、人手でこなせる規模で飼育し、(農作物の栽培に不可欠な)土壌の肥沃度を高めることで地元との強い結び付きを守り、天然資源を保全することで生物多様性を確保しています。
例えば、ギヨーム氏の家畜は農場の牧草地に放牧され、肥料の使用は最小限に抑えています。また、土壌に炭素を蓄えることで、メタンガスの排出量を約30%相殺しています。ホルモン剤や抗生物質を使用せずに飼育している点も重要です。
ギヨーム氏が飼育する家禽にも同様の配慮が行き届いています。約2,500羽の鶏がホロホロチョウ(フランス語ではpintade)やカモとともに、農場で放し飼いにされています。

ギヨーム氏の一家は何世代にもわたってこの土地で農場を営んできました。彼は家業に誇りを持ち、大切に受け継いでいます。現在、この農場は一般に公開されているため、その日常を垣間見ることができます。ギヨーム氏は消費者向けの直接販売も行っており、微笑みながら「非常にやりがいを感じます」と語っています。