食卓を彩るフランスの郷土料理とワインのペアリング

By Vicki Denig

「同郷のものは相性が良い」と言われますが、フランスの郷土料理と地元のワインのペアリングがまさにそのとおりです。 

この言葉は必ずしも文字通りに受け取るべきではありませんが(例えば、プロヴァンスのムールヴェードル主体の赤ワインにニース風サラダを合わせるのはお勧めしません)、料理とワインのペアリングの基本的なガイドラインに従えば、うまくいく傾向があります。タンニンは脂肪(特に肉)に合う、酸は塩を補う、強い酸味はこってりした乳脂肪(チーズ、クリームソースなど)の重さをやわらげるということを覚えておいてください。 

 

The Signature French Food & Wine Pairings You Need On Your Table

この記事の中に

フランス各地の郷土料理とワインのペアリングを10パターン紹介します。コルク抜きとお皿を用意して、お気に入りの場所を巡る美食の旅に出かけましょう。 

 

タルト・フランベ(フラムキッシュ) + リースリング(アルザス地方)

 

このアルザス伝統のペアリングは、最高の組み合わせ。極上のピッツァナイトを楽しみましょう。タルト・フランベは、地元では「フラムキッシュ」と呼ばれ、発音は難しいけれど、作るのは簡単です。生地を薄く伸ばして、ベーコン、クレームフレーシュ、玉ねぎを乗せて塩コショウで味を調え、焼くだけ。地元のリースリングをたっぷりと注ぎ、映画を観ながら味わえば、フランス東部風の美味しいディナーを楽しめます。 

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ゴートチーズ(シェーブル) + ソーヴィニヨン・ブラン(ロワール地方) 

 

フレッシュなゴートチーズとソーヴィニヨン・ブランは、シンプルでありながら、理想的な組み合わせ。酸味のあるソーヴィニヨン・ブランのワインと一緒に味わえば、シェーブルの刺激的な風味が生きてきます。ロワールでも特に、火打石のような香りとミネラルが感じられるのは、サンセールやプイィ・フュメでしょう。果実味の豊かなワインがお好みなら、トゥーレーヌのクラシックな銘柄がお勧めです。 

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オリーブのタプナード + ロゼ(プロヴァンス地方)

 

塩気のあるオリーブにキリッとしたロゼを組み合わせれば、太陽が降り注ぐプロヴァンスの海岸に逃避行したような気分になります。オリーブの種を取り、ニンニク、ケッパー、パセリ、レモン汁と一緒にミキサーにかければ、タプナードのできあがり。スパイシーなクラッカーやカリっと焼いたバゲットを添えたら、お気に入りのロゼのボトルを開けて楽しみましょう。

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ブリー・ド・モー + シャンパーニュ(シャンパーニュ地方) 

 

ラグジュアリーな同郷のマリアージュを自宅で楽しみたい?それなら、ブリー・ド・モーとシャンパーニュのペアリングがお勧めです。このクリーミーなチーズは、酸味の強いスパークリングワインによく合います。お気に入りのブラン・ド・ブラン(シャルドネ100%)をフルートグラスにたっぷり注げば、優雅なひとときを堪能できるでしょう。ひいき目かもしれませんが、このペアリングは他よりも少しだけ贅沢だと思います。しかも、準備するのも簡単です(コルク抜きさえ不要!)。

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ブッフ・ブルギニョン + ピノ・ノワール(ブルゴーニュ地方) 

 

料理好きな人にとって、定番のブッフ・ブルギニョンを作るのは、ホッとするようなフランスの家庭料理を取り入れる最良の方法の一つです。この伝統的なフランス料理は味わい深く、食べ応えのある郷土の味です。ブルゴーニュの赤ワインをお伴に、のんびりとディナーをお楽しみください。せっかくなので、とっておきのプルミエクリュのボトルを開けてもよいでしょう。 

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ラクレット + ジャケール(サヴォワ地方)

 

熱々のとろけるチーズには、(サヴォアの人々にならって)爽やかで酸味の強いワインを合わせましょう。ラクレットは牛乳でつくるセミハードタイプのチーズで、加熱して溶けた部分を削ぎ落とし、ジャガイモや肉、野菜にかけて食べます。サヴォア産のジャケール種のブドウが持つ強い酸味と豊かな果実味が、ラクレットのこってりした味わいを引き立ててくれます。ただし、このペアリングを楽しんだ後は昼寝したくなります。 

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カスレ + シラー主体の赤ワイン(ラングドック地方) 

 

カスレと骨太な赤ワインの相性は抜群です。ラングドック地方の伝統的なシチューであるカスレは、肉やソーセージ、豆などをじっくり煮込んで作ります。前にも述べたように、タンニンが豊富なワインに合わせれば、赤身肉の脂や風味が生きてきます。ラングドックの赤ワインの多くはブレンドワインですが、カスレに合うのはボディのしっかりしたシラーです。シラー主体の銘柄を見つけて、雨の日にボリュームたっぷりのカスレを作れば、本格的でホッとするようなフランス料理ができあがります。 

コンテ + ヴァン・ジョーヌ(ジュラ地方) 

 

コンテにヴァン・ジョーヌを合わせれば、もう言うことなしです。ジュラ名産のチーズとワインは別々に味わっても実に美味しいものですが、ペアリングすると、それぞれのユニークな風味が極上のハーモニーを奏で、驚くほど際立ちます。ヴァン・ジョーヌ(黄色いワイン)を飲んだことがない方は、ぜひお試しください。ジュラの伝統的なヴァン・ジョーヌは、(シェリーと同じように)酵母の薄い膜の下で約7年間熟成させることで、豊かなテクスチャーと重層的な酸化香(ローストナッツ、黄色い核果類、フレッシュハーブを思わせる香り)を生み出します。ヴァン・ジョーヌは一般的にさほど安価ではないため、より手頃なワインをお求めなら、ジュラ地方で酸化熟成させたサヴァニャンやシャルドネの銘柄を探してみてください。

© ©barmalini

リヨン風サラダ + ガメイ(ボジョレー地方)

 

フランスの首都はパリですが、フランスのグルメ界ではリヨンが中心地です。フランス南東部にあるリヨンは、豪華な料理やボリュームたっぷりのメニューで知られていますが、隣接するボジョレー産のガメイに合わせるなら、もう少し軽い料理がお勧めです。サラダ野菜にベーコンとクルトンを散らし、マスタードドレッシングをかけてポーチドエッグをトッピングした伝統的なリヨン風サラダは、タンニンが少なく酸味の強いガメイにぴったりです。しかも、このサラダは調理も簡単で、ほんの数分でできるため、良いことずくめです。

© ©alleko

フォアグラ + ソーテルヌ(ボルドー地方) 

 

最後は、豪華なペアリングをご紹介しましょう。食事を最高の気分で締めくくるには、ボルドー名産のフォアグラとソーテルヌのペアリングがお勧め。ボルドーらしい甘美なマリアージュは、フランスの優雅な美食を象徴する組み合わせです。フォアグラを少し冷やすか、または室温に戻し、トーストしたパンを添えたら、黄金色に輝くソーテルヌをグラスに注ぎましょう。これこそ、フランスが誇る郷土の味、まさに至福のマリアージュです。 

© ©Desgrieux

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