こんにちは、パリでソムリエールをしている細川聖香です。11月末からパリはクリスマス一色となり、イルミネーションのおかげで街歩きがとても楽しくなります。さて一年を締めくくるこの季節、パリっ子はどんなワインや料理で過ごすのでしょう? レストラン、ホームパーティ、それぞれの風景をお伝えします。
通な客はシャンパーニュを白ワイン風に堪能
クリスマスになると、レストランが大賑わいになるのはフランスも日本も同じ。クリスマスをお祝いするため、豪華な食材をふんだんに使う特別メニューを用意します。格式のあるレストランになりますと、キャビアから始まりフォアグラ、牡蠣、トリュフ、オマール海老、鴨などなど高級食材がふんだんに使われ、一年で一番の贅沢コースが設定されます。お出しするワインも、いつもとは異なります。ブルゴーニュやボルドーの高級な赤ワインのほか、甘口ワインも意外とよくオーダーされるんですよ。前菜のフォアグラや豊富なデザートにあわせやすいので、ボルドーのソーテルヌや南西地方のジュランソンなどがよく出ます。また、お二人で1本シャンパーニュを頼み、食事を通して楽しまれる方もいらっしゃいます。そういえば、そのシャンパーニュをコース料理の後半で「カラフェに移してください」と頼まれたことがありました。深い味わいの高級シャンパーニュでしたから、あえて泡を抜いて穏やかにし、白ワインのように楽しまれていたのが印象的でした。
ホームパーティは持ち寄りで夜更かしOK
もちろん、自宅でパーティをして過ごす人たちも多数いらっしゃいます。例年は私も家にてシャンパーニュと生牡蠣、シャンパーニュとチーズでクリスマスを過ごしてきました。とはいえ、クリスマス料理の定番中の定番といえば、やはり鶏の丸焼きやフォアグラ。とくに鶏の丸焼きは、普段も日曜日によく食べられるのですが、年の瀬にはAOCのブレス鶏など通常より旨味の強い鶏のローストがズラリとショップに並びます。鶏をローストしたときに出るジュをベースにしたソースが添えられているので、それを付けて食べるのがまたオイシイんです! 鶏の丸焼きに合わせたくなるワインとして、よく売られているのがブルゴーニュのピノ・ノワール。ほか、ボージョレ、ローヌの赤ワインも人気ですね。もし年末のホームパーティに招かれたら、こちらも手土産を用意して向かいます。「鶏の丸焼きはすでに用意済み」と言われたらオマールやフォアグラを持参したり、ワインも相談しつつ何かしら選んで持っていったり。パーティは昼にスタートし、夜8~9時くらいまで続きます。いつもは早く寝かされる子供たちも、親に「今日は特別な日だから、寝なくても大丈夫」と許可をもらえて大喜び。「毎日がパーティだったらいいのに」なんて呟く子供を見ると、笑ってしまいます。家族や友人そろって過ごすフランスのクリスマスは、日本でのクリスマスより正月に似ているのかもしれません。
●細川聖香 名古屋マリオットアソシエホテルに勤務後、フランスへ。2019年、エッフェル塔2Fミシュラン星付きレストラン「ル・ジュール・ヴェルヌ」リニューアル・オープンのタイミングで入社。ワインの知識とテイスティング能力を競う「ルイナール・ソムリエ・チャレンジ2021」フランス大会で優勝。2022年11月よりフリーランスのソムリエールに。
Colaborador
ソムリエール