リヨンの南東に位置するオート=ロワール県、標高600~1,200メートルで栽培されるル・ピュイ産緑レンズ豆は、特別な気候が育てる、独特の味わいを持つレンズ豆です。
アペラシオンの650の生産者のひとり、フィリップ・ジール氏にお会いしました。
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年末に訪ねたオーベルニュ地方の小さな村、サン=マルタン=ド=フュジェール周辺の草原には、霜が薄く積もっていました。フィリップとサンドラのジール夫妻が営む共同農業生産グループ「 レ・ピ・ダニシア」では、すでに緑レンズ豆の収穫が終わっていました。
「通常は、8月10日から15日の間、豆の直径が4ミリ程度になった時に収穫します。今年は雨と寒さにより、1~2週間遅い収穫となりました」と、フィリップ氏は言います。
ル・ピュイ産緑レンズ豆は通常、土壌が十分に温められた4月20日頃に播種します。その青みがかった艶は、ブルーベリーや黒ブドウの色素と同じアントシアニンを細胞内に含んでいるためです。
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補完的作物として高い人気
2009年にアペラシオン「ル・ピュイ産緑レンズ豆」として認定されたこの豆は、栽培方法が規定された初めてのマメ科植物となりました。現在、アペラシオン内で活動するオート=ロワール県87市町村の650以上の生産者がAOP(原産地呼称保護)認定を受け、世界70カ国以上に輸出しています。「レンズ豆は主要農作物ではなく、補完的に栽培されるのが特徴です。この地域の生産者の多くは、複数の作物栽培と酪農を組み合わせています。私は2000年代に農業を始め、古代小麦の栽培、約50頭の乳牛の飼育、そしてレンズ豆の栽培をしています」と話すフィリップ氏は、有機認証を取得している数少ない農家です。ちなみに、このアペラシオンは持続可能な開発の観点できわめて先進的な存在で、肥料の使用や灌漑が禁止されています。
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「畑のキャビア」
今日「ル・ピュイ=アン=ヴレ」が正式名称となっているル・ピュイですが、古代ローマの時代には「アニシウム」という名前でした。その名にちなんで、ル・ピュイ産緑レンズ豆の品種は「アニシア」と名付けられています。この種は、成木になると高さ20~30cmになり、その楕円形のさやには通常2つの種が入っています。種はコンバインで収穫され、さやを取った後、サイロや大型冷蔵庫で保管されます。
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年や湿度によっては、最適な条件で保存するたに収穫の一部を乾燥させることもあります。
その次は、いよいよキッチンの出番です。
フィリップ氏は、「ヴレのキャビア」とも呼ばれるこのレンズ豆に少し栗の風味があると言い「これほど皮が薄く、デンプン質を含まない種を持ち、調理に耐える品種はありません」と、熱っぽく語ります。
調理のコツは、冷水(塩は入れないこと!)から茹ではじめ、沸騰した後20分ほど茹でること。この地方では、ニンジンやスモークソーセージと一緒に煮込んだ郷土料理「プチ・サレ・オ・レンティーユ」はもちろん、スープに入れて食されます。パリのレストラン「アニシア」のシェフで、ル・ピュイ=アン=ヴレ出身のフランソワ・ガニェール氏はクレーム・ブリュレにしてしまうのだとか!
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