ガレット・デ・ロワとは、1月6日の公現祭(エピファニー)に、フランスで食べられるお菓子のことです。パイ生地にアーモンドクリームが詰まっており、フランス菓子としては王道の組み合わせ。年が明けるといっせいにフランスのお菓子屋さんやパン屋さんで、紙でできた王冠といっしょに売られ、それを買って家族や友人たちが集まり、何人かで切り分けて食べます。最近は1月6日に限らず、1月中であれば人が集まれるときに食べます。
日本でも最近は、家族が集まるお正月に食べるお菓子として人気が出てきましたね!
当初は、お客さんからこれは月餅?と聞かれていたお菓子屋さんもありました。このようにガレット・デ・ロワが普及した影には、パティシエたちと結成した、フランス伝統菓子を守る会「クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」の20年に渡る活動にもよります。
ガレット・デ・ロワのお楽しみは、このお菓子に隠れているフェーヴといわれる小さい陶器の人形を当てること。当たった人は、その日王冠をかぶり、「王様」または、「王女様」になることができ、みなから祝福されます。また、王様や王女様になった人は、相手の「王女様」になるべく女性、または「王様」になるべく男性を選ぶのです。
エピファニーとは、キリストの生誕を聞きつけて、東方からバルタザール、メルシオール、ガスパールの3人の聖人(王とも博士とも言われている)がベツレヘムに到着し、キリストに謁見し、その誕生を祝った日です。
中に隠れているフェーブは、直訳するとソラマメという意味。ソラマメは、当初胎児の形をしており、古代から命のシンボルとして扱われていました。最初は、パンにソラマメを入れたシンプルなものでしたが、1874年、パリのお菓子屋さんがはじめてドイツのマイセンに依頼し陶器のフェーブをガレットの中へ忍ばせたと伝えられています。
基本的には、キリスト生誕にまつわるお祭りなので、当初は、キリストがおくるみにくるまった人形などが多かったのでしたが、機関車、キュービスムの道化師、近衛兵など、時代を反映する形のものなども作られるようになっていき、今ではお店のオリジナルフェーブもしばしば見かけます。食べるときは、その場に居合わせた人数に切り分けられ、テーブルの下にかくれた子供が、誰にどの一切れを与えるのかを決めます。