業界関係者に聞く 2024年フランスワイン&スピリッツ動向

By Vicki Denig

日々進化を遂げるワイン・スピリッツ業界。専門家はどのように2024年を見据えているのでしょうか。2024年のフランスワイン・スピリッツのトレンド予測をお届けします。

French Wine & Spirits Trends in 2024

2024年のフランスワインのトレンドについて、ワイン業界の方々に聞いてみました。ワイン選びの参考にしてみてくださいね。

「手頃な値段のサステナブルな選択肢、例えばシャンパーニュよりもクレマン、ブルゴーニュよりもボジョレー、ロゼならプロヴァンスよりコート・デュ・ローヌが注目されるようになるでしょう。」 - フェアモント ロイヤルヨーク内レイン」ソムリエ スティーブン・カラタグリディス

 

「2023年はコレクター向けフランスワインが、多くのセグメントで販売減となりましたが、直近ではシャンパーニュやボルドーの赤の売り上げが上昇しており、これらの地域産は2024年も引き続き好調となるでしょう。特に、グロワー・シャンパーニュや大手メゾンのテット・ド・キュヴェといったサブカテゴリーが、当社で扱うシャンパーニュの有望株です。ボルドーでは、プルミエ・クリュ(第1級)格付けのシャトーのものが最近売れています。しかし面白いことに、これに迫る売り上げとなっているのは、第5級シャトーのワインです。

スピリッツについては、コレクター向けではコニャックアルマニャック、またシャルトリューズの希少品が最も注目されています。この傾向は2024年も続くでしょう。シャルトリューズの希少な古酒は特に品不足で、平均価格は大きく変動しています。コレクター向けのコニャックやアルマニャックは比較的入手しやすいため、ここ数年間は価格も安定しています。当社はいずれのトレンドも続くと見ています。」 - ベンチマークワイングループ社長兼マスターソムリエ ジェイ・ジェームス

 

「2023年は全体的に当たり年と言えるため、素晴らしいワインになると期待しています。うまくいけばブルゴーニュワインの価格も低下し、消費者は手頃な価格でワインを楽しめるようになるでしょう。また、ラングドックやサヴォワ、コルシカなど、それ以外の産地にとっても、国際的に注目される機会となります。こうした産地のワインの評判を高めるには、国内でも時間がかかります。ワインの品質はグラスの中にある、つまり飲んで初めて評価できるのですから。全体的に、2024年は主力産地以外で新たな発見のある年となるでしょう。」 - アペリティフ (バリ島ウブド)ソムリエ長 ジャン=ブノワ・イスル

 

「有名な高級フランスワインの価格は高騰しています。ご存知のように、気温が上昇しており、こうした温暖化によって、ワイン生産者は製造方法や原料のブドウを変える方向に動いています。また、消費者側でもこれまでに飲んだことのないブドウ品種や生産地を試そうとする傾向が見られます。こうしたすべての要因が組み合わさって、新興ワイン産地の飛躍的な成長、そして有名ワイン産地の方向転換や拡大が起こるでしょう。」 - ル・ジャルディニエ・ニューヨーク ソムリエ ミケーラ・ジョンソン

 

「2024年のトレンドは、新しい世代のワイン生産者です。多くは名前を変えて、遺産を受け継いでいます。10年前は自然派ワインがはやっていましたが、現在ではオーガニックワインが新たなスタンダードとなっています。若いワイン生産者は今では、オーガニックやサステナビリティよりも、テロワールやブドウの特性を重視するようになっています。」  - 「YUU」 ソムリエ兼総支配人 松本昭生

 

「2024年はフランスワインにとって面白い年となるでしょう。昨年はボルドーでのべと病(ミルデュー)の被害がクローズアップされ、ブルゴーニュやシャンパーニュの生育条件が非常に良かったことはあまり注目されませんでした。私はこの両地域から当たり年のワインが出ると期待しています。また、ボルドーの中であまり知られていない畑を探すのではなく、ラングドックなど他地域に関心が移ると予想しています。ラングドックでは、ジェラール・ベルトランなどの造り手が国際的に注目されるようになっています。フランスの若者たちの間では、引き続きワイン離れでカクテルを好む流れが続いています。このトレンドは続くと思います。こうした中で、ワイン生産者は市場シェアを減らさないよう、新興市場(中国など)に目を向けています。」  - 「ブル・オン・ザ・ハドソン」 ソムリエ アダム・グリア

  

「消費者はサステナブルな製法によるワインを選ぶことに引き続き高い関心を寄せています。気候変動に関する知識が広まり、ワイン造りが環境に及ぼす影響に対する意識が高まる中、消費者はサステナビリティを重要な購買決定要因とみなしていることが明らかとなっています。また、従来とは異なるワイン体験、より手頃な価格への注目も高まっており、これまでにない新興栽培地のワインも引き続き出てくるでしょう。」  - ローズウッドホテル系列「オテル・ドゥ・クリヨン」 ソムリエ長兼ローズウッド・ヨーロッパ所属ソムリエ グザビエ・チュイザ

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