シャンパーニュ 極上のテロワール

シャンパーニュは純フランス産

「シャンパーニュは100%フランス生まれのワイン」――シャンパーニュ地方の人々はそう力説します。実際、これはパリから東へ約150 km離れたこのブドウ産地のワインだけに許された呼称なのです。34,300ヘクタールのブドウ畑が28万区画に分かれて広がっており、多くの区画はテニスコートほどの広さ。毎年16,000の栽培農家が3億本のシャンパーニュを市場に送り出しており、そのすべてが原産地統制呼称（AOC）シャンパーニュの認定を受けています。

シャンパーニュの4大産地

類例のないこのブドウ産地は主に4つの地区に分かれます。北から南へ順にご紹介しましょう。まずはモンターニュ・ド・ランス、次に来るのがシャンパーニュ地方ワイン史の中心地ヴァレ・ド・ラ・マルヌ。そして名は体を表すコート・デ・ブラン。「白の丘陵」を意味するこの名は当地で多く栽培される白ブドウ、シャルドネに由来します。シャンパーニュ・メゾンを代表するポル・ロジェの本拠地もここ。そしてアペラシオン・シャンパーニュの最南端には、丘の急斜面に広がるコート・デ・バールのブドウ畑があります。

最適な環境

これらのテロワールは独特で、それぞれに際立つ特徴があります。直接ワインの出来に影響するのがクリマ、土壌、環境、そしてブドウ農家の技。シャンパーニュ地方の人々も「異なる地域のシャルドネ2本を飲み比べてみれば、違いが分かりますよ！」と言います。

クリマに目を向けると、大陸性気候と海洋性気候の影響を同時に受けるシャンパーニュ地方のブドウ畑は、冬は寒過ぎず夏も暑過ぎることはありません（年間平均気温11°C）。地形は比較的急峻で、起伏に富んでいます。土壌の大部分は石灰質で、ここに泥灰土、硬質な石灰岩、砂、重粘土、白亜などが含まれ、中でも白亜は温度調節や排水促進など重要な役割を担っています。ブドウの木はこの独特の土壌に長く根を伸ばしてミネラル分を吸収し、シャンパーニュ特有のミネラル感を生み出します。

シャンパーニュを代表するセパージュ「ピノ・ノワール」「シャルドネ」「ムニエ」

シャンパーニュ地方では、土壌の性質と相性の良いピノ・ノワール、シャルドネ、ムニエという3種類のセパージュが主に栽培されています。いずれも泡立ちと泡持ちに大きく影響する甘味と酸味のバランスに優れた品種です。

ピノ・ノワールはシャンパーニュ地方の畑で最も多く栽培されている品種（38%）で、モンターニュ・ド・ランスとコート・デ・バールを代表するセパージュでもあります。ワインに力強さと骨格を与え、赤いフルーツと花の香りをまとわせます。

シャルドネはコート・デ・ブランを代表するセパージュ。この品種から生まれるワインはすっきりとした味わいが特徴で、花や柑橘類のノートが広がります。長期熟成にもぴったり。

ムニエはシャンパーニュにまろやかさを与え、黄色いフルーツの香り漂うしなやかでフルーティなワインを生み出します。

この他、アルバーヌやプティ・メスリエ、ピノ・ブラン、ピノ・グリを使用したシャンパーニュに出会うこともあるかもしれません。古くからあるこれら4品種も、間違いなくこのアペラシオンに属するセパージュです。ブドウ畑全体の0.3%を占める少数派ですが、再び注目度が高まりつつあります。

シャンパーニュならではのアッサンブラージュの技

ボルドーやラングドックなどフランスの他のブドウ産地と同様、シャンパーニュ地方でも複数品種のアッサンブラージュが行われています。ただし、この地で行われているのはただのアッサンブラージュではありません。ここでは様々なセパージュ（ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネ）に畑（異なるテロワール）やミレジムの錬金術が加わり、極めて独特かつ複雑なアッサンブラージュがなされます。その目標は、毎年前年と同レベルの上質なシャンパーニュを造ること。このため多くのキュヴェが複数年のリザーヴワインをブレンドした「ノン・ミレジメ（ノン・ヴィンテージ）」なのです。

シャンパーニュ地方では長きにわたりテロワールの質を維持するため環境に優しいブドウ栽培を行ってきました。この地方で有機農法は多数派ではありませんが、作付面積は拡大中です。白にロゼ、ブリュット、ドゥミセック、エクストラ・ブリュット、ナチュール……ブドウ生産者は毎年この個性溢れるテロワールが生み出す泡のダンスを演出します。そんな魔法をかけられたシャンパングラス1杯1,100万個の泡をどうぞご賞味あれ。

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