パテ、テリーヌ、ムース、リエット、フォアグラの秘密を解き明かしましょう。それぞれの特徴と違いを知れば、フランス料理を味わう楽しみがさらに広がります。
このトータルガイドでは、パテ、テリーヌ、リエット、フォアグラといったシャルキュトリーに欠かせないメニューの違いを説明し、フランス料理の定番として人気のある各メニューの特徴や料理法も紹介します。
パテ:フランスのシャルキュトリーの代表格
「ペースト」を意味するフランス語に由来するパテは、挽き肉やモツ肉(一般的には豚肉)で作った濃厚で風味豊かなスプレッドで、ハーブやスパイス、ゲランドの塩のような地元の塩、さらにアルマニャックやノルマンディー産カルヴァドスなどのフランス産スピリッツも加えます。テリーヌ型に入れて供する伝統的なパテは、なめらかな食感とコクのある風味が特徴です。豚肉を使った昔ながらのパテ・ド・カンパーニュから、鴨や仔牛、イノシシなどの肉を使ったものまで、バリエーションも豊富です。大抵は、冷たい前菜として、バゲットやパン・ド・カンパーニュ(田舎風パン)にのせて食べます。
リエット:スロークッキングの技
フランスのリエットは、肉(通常は豚肉ですが、鶏肉、鴨肉、ウサギ肉も使います)を柔らかくなるまで脂でじっくりと煮込んでからほぐし、さらに脂やハーブ、スパイスを混ぜた素朴で口当たりの良いペーストです。出来上がったリエットは瓶詰めして固まるまで冷やし、なめらかな食感に仕上げるため、スプレッドのように塗り広げることができます。フランス北西部のル・マン市の郷土料理であるリエット・デュ・マンや、地理的表示保護(PGI)を取得したリエット・ドゥ・トゥールなどが有名です。伝統的なレシピをアレンジして、サバやフランス産マス、あるいはカニやロブスター、ホタテなどの魚介類で作ったリエットもあります。
フォアグラ:グルメをうならせる珍味
フランス語で「脂肪肝」を意味するフォアグラは、鴨(アヒル)やガチョウの肥大した肝臓から作られます。バターのように濃厚な食感とデリケートな風味で知られるフォアグラには、肝臓丸ごとのアンティエ(ホール)と、肝臓の断片を脂肪で乳化させた、なめらかで塗りやすいパテ状のブロックという2種類があります。フォアグラはそのリッチな味わいで珍重され、フランスではクリスマスや新年のお祝いによく登場します。有名なトゥルヌド・ロッシーニ(牛フィレ肉の上にソテーしたフォアグラをのせた料理)のような高級料理に添えることもあります。甘口ワインやデザートワインに合わせることが多いものの、辛口の白ワインとの相性も抜群です。
パテ・アン・クルート:フランス料理の傑作
パテ・アン・クルートは、サクサクのパイ生地で包んだフランスの風味豊かなミートパイ。豚肉やジビエなどの挽き肉に、さまざまなハーブやスパイス、場合によってはフルーツやナッツを合わせたパテを、パリッとした生地に包んで香ばしく焼き上げた料理です。凝ったデザインに装飾を施したものが多いパテ・アン・クルートは、美味しいだけでなく見た目も美しいため、フランスではお祝いの席で人気のフィンガーフードになっています。
ムース:フワフワで軽やか
ムースとはフランス語で「泡」を意味し、生クリームか卵白、またはその両方を使ってシルクのようになめらかな食感に仕上げた肉料理です。一般的なバリエーションとしては、ムース・ド・カナール(鴨レバームース)や鶏レバームースがあります。いずれも上品な味付けで、コニャックなどのフランス産スピリッツを加えてコクを出すことができます。繊細な風味で人気のムースは、カナッペに塗ることもよくあります。
完璧なフランス風シャルキュトリーボードの作り方
バリエーション豊富なフランスのシャルキュトリーを存分に楽しむために、本格的なパテ・ド・カンパーニュ、瓶詰めのリエット・デュ・マン、スライスしたバイヨンヌ産生ハム IGPを盛り合わせてシャルキュトリーボードを作ってみましょう。堅焼きパン、コルニッション(ピクルス)、フランス産洋梨やイチジクなどのフルーツ、またはイチジクのチャツネを添えてもいいでしょう。フランスらしい食卓を演出したいなら、シャルキュトリーボードにボルドーワインの赤のようなとっておきのフランスワインを合わせて、シャルキュトリーの味わいを引き立てましょう。