いきなりごちそうを食べると、胃が大変なことになります。では、どうすればいか?フランス人のやり方に従い、爽やかなアペリティフ(食前酒)で夜のひとときをスタートしましょう。

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アメリカではあまり一般的ではありませんが、ヨーロッパの多くの国ではアペリティフ(フランスでは「アペロ」)は重要なひとときです。「アペロ」の時間には、食事の前に友人と集まって積もる話をしたり、これから始まる食事に備えて体を整えたりすることができます。

また、ディナーを気分良く締めくくることも同じくらい重要です。ここで出てくるのがディジェスティフ(食後酒)です。食後酒は、少量でも重要な役割を果たします。ヨーロッパの食事文化にとって不可欠な存在であり、食事を気分良く締めくくるには最高の飲み物です。お酒を愉しむひとときについて、もっともっと知りたくありませんか?ここでは、食前酒と食後酒の5つの違いについてご紹介します。

 

違い その1:食前酒と食後酒の違い 

食前酒(アペリティフ)とは、食欲を刺激し、本格的な食事に備えて体を整えるために、食事の前に飲むアルコール飲料のことです。一般的には辛口のお酒ですが、甘い食前酒もあります。食前酒には通常、ナッツやチーズ、オリーブ、パテなどのオードブルやフィンガーフードを添えます。フランスでは、夕食の前にこうした食前酒やおつまみを取る習慣を「アペロ」と呼びます。「アペリティフ」という言葉は、ラテン語の動詞「aperire(開く)」が語源となっています。 

食後酒(ディジェスティフ)とは、食後に胃を落ち着かせて消化を促すために、食後に飲むアルコール飲料のことです。食前酒よりもアルコール度数の高いお酒であり、通常はストレートで飲みます。コーヒーの後に飲むときは、プース・カフェ(pousse-café)とも呼ばれます。イタリアのアマーロなど、苦みの効いた蒸留酒は、多くのハーブが消化を助けるとされ、一般的に食後酒として飲まれています。 

 

違い その2:歴史 

食前酒と食後酒を飲む習慣は、1,500年以上前に遡ります。しかし、食前酒が一般的になったのは1800年代のヨーロッパ(特にイタリア)です。イタリアの大都市(ローマ、トリノ、ジェノヴァ)のカフェ文化により、夕食前に食前酒を飲むことが流行しました。フランスでは、19世紀半ばに化学者のジョゼフ・デュボネが、キニーネ入りのマラリアの特効薬「デュボネ」を作ったのがきっかけで、食前酒の習慣が広まりました。デュボネは、キニーネの味を隠すためにハーブやスパイスをブレンドしました。デュボネの妻はその薬を気に入り、本格的な食事の前後に、友人と一緒に飲むようになったとされます。

一方、食後酒はもともと薬用として作られたものです。アルコール度数の高い飲み物ですが、大昔は一般に胃痛からその他の疾患に至るまで、巷のあらゆる病気の薬として処方されていました。長い食事の後の消化を助ける用途で食卓に上るようになったのは、1700年代になってからのことです。

 

違い その3:タイミング

食前酒と食後酒の最大の違いは、それを飲むタイミングと甘さの程度です。食前酒は食事の前に飲み、一般的に辛口であるのに対し、食後酒は食後に飲み、甘口でよりアルコール度数が高く、苦みが強い傾向があります。

 

違い その4:お酒の種類

食前酒には、ベルモットやパスティス、ドライ・シェリー、シャンパーニュが人気です。辛口で酸味のある白ワインもよく飲まれます。フランスでは、地方ごとに食前酒の種類が異なります。南部では、食前にパスティスを飲むのが一般的ですが、ノルマンディー地方ではカルヴァドスを飲むのがはやっています。またキール(blanc-cassis)は、フランス全体で人気のある食前酒です。このベーシックなカクテルは、カシスのリキュール(クレーム・ド・カシス)に白ワインを少量加えて作ります。伝統的には、この白ワインはブルゴーニュのアリゴテ種です。白ワインの代わりにシャンパーニュを注ぐと、キール・ロワイヤルになります。

一般的な食後酒としては、酒精強化ワイン(スイートシェリー、ポートワイン、マデイラ酒)、ブランデー類(コニャック、チャチャ、グラッパ)、ビターリキュール(フェルネット、シャルトリューズ、サンブーカ)、その他(ウーゾ、メスカル、アクアヴィット)などのリキュールがあります。

 

違い その5:楽しみ方 

食前酒は通常、軽いおつまみと一緒に取ります。チップスやナッツ、塩気の効いたオリーブを小皿に入れ、辛口の美味しいお酒を開けて、楽しんでください。ボリュームのあるアペリティフなら、バゲットをスライスし、とっておきのチーズとサラミ(saucisson)を出して、お好みのシャルキュトリー盛り合わせを作ってみてください。

食後酒はもっとシンプルです。栓を開けて、注いで、消化を促すだけ。食後酒は、長時間食事をした後なので、普通おつまみは付けませんが、小さなクッキーやビスコッティを添えると、強いお酒に合うでしょう。

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