1月の定番ケーキ、ガレット・デ・ロワを フランスが誇るラム酒とともに

By 山本 真紀

フランスで1月の大イベントと言えば、正月よりも「公現祭」。キリスト教の祝祭として、クリスマスに並ぶ大事な日です。そして、公現祭に欠かせないのがガレット・デ・ロワと呼ばれるケーキ。なかに詰まったアーモンド・クリームはラム酒で風味付けをするのがお約束ですから、このケーキと合わせたくなるお酒は自然と決まります。やっぱり1月は、ガレット・デ・ロワとフランス産ラム酒のペアリングが最高!

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ガレット・デ・ロワは地方によってレシピが異なりますが、アーモンドパウダーとバターたっぷりのクリームをパイで包みオーブンで焼いたケーキがよく知られています。そして、フェーブと呼ばれる陶器製の小さなピースが1つ、クリームのどこかに隠されているのがお約束。このフェーブは、博士たちが持ち寄った供物を象徴しているんだとか。
ケーキを切って数人で分け、自分の皿にフェーブ入りが巡ってきた人はラッキー!その日1日は王冠をかぶり、王様気分で過ごすことが許される……というゲームがスタートします。最近は、1月になると日本のケーキ屋さんでもガレット・デ・ロワをよく見かけるようになりました。ガレット・デ・ロワのおいしさとゲームのウキウキ気分は、今や宗教を超えて全世界で楽しまれているのですね。

ケーキに仕込むフェーブ=箸置き?! さて、見つけてうれしいガレット・デ・ロワ用フェーブは、熱烈なコレクターが世界中にいるのも頷けるほど、様々なかたちをしたものが出回っているのです。楽しそうなガレット・デ・ロワを今年は自分で焼いてみようっ、と決心してみたものの「フェーブって何?どこに行けば手に入るの?」と悩んでいるなら、日本ではとてもとても身近なアイテム、箸置きを代用するのはいかがでしょう。サイズやデザインによってはフェーブとして使えるものが、箸置きにはたくさんあるのです。小さくて熱に強い陶器製や金属製の箸置きが手元にあれば、ガレット・デ・ロワに仕込んでみては。もちろん、フェーブや箸置きがなくても大丈夫ですよ。フェーブは「豆」という意味で、本来はくじ代わりに豆を入れていたのです。豆やナッツの粒を1つだけフェーブ代わりに隠し、そのままオーブンで焼いてみてください。これなら、フェーブの存在に気付かないままウッカリ噛んでしまったときも、歯にやさしくて安心です。ただし、誰かがフェーブに気づかないまま粒ごと食べてしまうと、王様役が決まらずゲームにならないかも……?!

マルティニークのラム酒は別格 さて、ケーキの準備とともに、合わせる飲み物もチョイスを。ガレット・デ・ロワに使われているお酒はラム酒です。そして質の高いラム酒と言えば、マルティニーク産を置いては語れません。カリブ海に浮かぶ、フランス領のマルティニーク島。のちに日本で活躍した小泉八雲ことラフカディオ・ハーンや画家のゴーギャンも訪れたことがある小さな島です。

ラム酒は通常、サトウキビを絞ったジュースからいったん砂糖を作り、砂糖精製時に出てきた糖蜜の部分を再利用してようやく酒が造られます。いっぽうマルティニークでは、サトウキビを絞って出来たジュースを丸ごと醸造・蒸留する「アグリコール製法」が守られてきました。結果、ほかのラム酒に比べるとマルティニーク産は一段と風味豊かで、熟成させると今度はコニャックのような深みを感じさせるものに。

ガレット・デ・ロワを作っていると、アーモンドクリームにマルティニークのラム酒を加えた瞬間に甘くスパイシーな強い香りが立ち上り、思わず深呼吸してウットリしてしまうほどですよ♪

ストレートやロックスタイルで飲んでも大満足なラム酒ですが、もちろんカクテルのベースとしても大活躍してくれます。ラムベースで代表的なカクテルは、人気のモヒート。ミントの葉、砂糖、ライムをグラスの底で軽く潰して、ラム酒と炭酸で割ったものです。ライムの代わりに柚子や橙などの和柑橘を使ってオリジナリティを出しても。また、ラム酒をコーラで割るだけで、シンプルながらカクテルの完成。焦がしたような甘い香りがコーラとラムでリンクしますよ。アルコールに弱い人向けとしては、紅茶やコーヒーにラム酒をほんの少しだけ加えたものがオススメ。コレ、ホットでもアイスでもアリなのです。さらに寒い冬、体を温めたいならホットミルクにラム酒が定番! ミルクに抹茶やチョコレートを入れたり、ミルクを豆乳に置き換えたり、お好みでどうぞ。

マルティニーク産のラム酒を使った上質カクテル、ラム酒と食とのペアリング、どちらのアレンジもいろいろ試してみてくださいね。

Contributor

MakiYamamoto
山本 真紀

ワインライター

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