ウィリアム・シェイクスピアの戯曲に、「名前になんの意味があるの?」という名言がありますが、もちろん多くの意味があります!人気の定番料理の名前には、「フレンチ」と付くものがありますが、その本当の由来を聞いたら驚くでしょう。それでは、どれが本当に「フレンチ」なのか、見ていきましょう。
フレンチトースト:少し違う
最初のフレンチトーストのレシピは4世紀に遡り、古代ローマ人がパンを牛乳と卵に浸して焼いた「Pan Dulcis」が始まりとされます。フランスではこれが「ローマ風パン」と呼ばれるようになり、その後、硬くなったパンを使うことから「Pain Perdu(「失われたパン」)」という名前が定着しました。これがイギリスにどう伝わったのかは定かではありませんが、「フレンチトースト」という名前が初めて使われたのは17世紀のイギリスの料理本です。
フレンチフライ:議論の余地あり
ベルギー人は、フレンチフライはベルギー生まれだと主張しています。1680年にある村の川が凍結して魚が捕れなかったので、代わりにジャガイモを揚げたという説ですが、複数の歴史家から信憑性が低いと見られています。一方フランス人は、「ポテトフライ(pommes frites)」として、1795年のフランスの料理本にすでに登場しているのだから、フレンチフライはフランス生まれだと主張しています。その後、親仏家で有名なアメリカ合衆国の大統領トーマス・ジェファーソンが、1802年にフランスを訪問した後にこの料理を米国に持ち込み、ホワイトハウスで「フランス式」のポテトフライが供されるようになったとされます。
フレンチプレスコーヒー:正真正銘フランス生まれ
フレンチプレスコーヒーは、「フレンチプレス(フランス語で「café a piston」)」という手動式のコーヒーメーカーで作るコーヒーです。円筒形のポットに挽いたコーヒー豆とお湯を入れてから、手押しのフィルターを使って、コーヒーに湯を通します。この器具は1852年にフランス人によって発明され、1950年代に世界中で人気となりました。
フレンチバニラ:ある意味フランス生まれ
バニラビーンズには栽培地の名前(タヒチやマダガスカルなど)が付いていますが、「フレンチバニラ」と呼ばれる品種は存在しません。「フレンチバニラ」とは、バニラ・カスタードをベースにしたアイスクリーム製造法を指します。卵がバニラに深く濃厚な味わいを与えるバニラ・カスタードは、カスタード・タルトやクレーム・ブリュレのようなデザートに使われます。
フランスパン:そうとは言えない
「フランスパン」は世界中で皮がパリッとした柔らかく白いサワードウ・ブレッドと認識されていますが、1839年に初めて作られた伝統的なフランスのバゲットとは似て非なるものです。本物のバゲットは、フランス人の日常生活に欠かせない要素であるため、「ユネスコ無形文化遺産」に指定され、その製法は法律で保護されています。
今回ご紹介した「フレンチ」フードの中は、意外に正真正銘フランス生まれとは言えないものもありましたが、フランスの料理法や食材が世界中の食に影響を与えてきたことは明らかですね。フランス料理についてのさらなるヒントは、Taste Franceのレシピ特集をご覧ください。