《フレンチスイーツストーリー 》フレジエ

By 大森 由紀子

Fraisier

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5月 と言えば、フランスでは苺のケーキ、フレジエ というお菓子が出回る時期です。日本では1年中苺のショートケーキを見かけますが、フランスではこの時期にしか苺のお菓子を作りません。

日本で苺のショートケーキを最初に考案したのは不二家の創業者である藤井林右衛門と言われています。その由来説には、アメリカのパンケーキ風なものを2枚重ね、そこに苺とクリームを挟んで作ったので、短時間でできるからショートと名付けたという説。あるいは、イギリスのショートブレッドを2枚重ねたのでショートケーキと呼ばれるようになったという説があります。が、私が以前、大正時代のハイソな家庭向けのお菓子本にあったショートケーキのレシピを見て作ったものは、スポンジを平たく焼いて、それを2枚重ねるというものだったので、アメリカパンケーキ説が有力かもしれません。日本の苺の種類も沢山ありますが、パティシエたちに人気なのは「あまおう」でしょうか。

一方、フランスでは、ブルターニュ産のプルガステルやガリゲットなどが人気。先日、パティシエだった人が、苺農家に転身。フランスのこれらの苺を栽培したいけど、どうしたらいいかと相談を受けました。日本でフランスの苺が手に入るようになったら、また味わいに広がりが出ること間違いなし。

フランスの苺は、18世紀チリからもどったアメデ=フランスソワ・フレジエという軍人が伝え、ブルターニュのフィニステール県で栽培されたと言われています。綴りは異なりますが、偶然ケーキのフレジエと同じ名前。フレジエとは苺の木という意味。フレジエは、いちごとクレーム・ムースリーヌ(バターとカスタードクリームを合わせたもの)をアーモンドスポンジで挟み、苺の断面が見えるようにカットします。見た目が華やかなことからか、ブーローニュにあるバラ園、バガテルの別名も持ちます。

ところで、苺のショートケーキですが、苺が薄くて少ししか入っていないとがっかりしますよね。私が思うに、苺が全体の30%くらいはさんであるとバランスよく、満足すると思うのですが、いかがでしょう。

大森由紀子
フランス菓子・料理研究家。フランス全土を周り食文化と歴史を研究し、メディアや書籍を通して日本に紹介。近著「フランス郷土料理と地方菓子の事典」。
フランス菓子と料理の教室《エートル・パティス・キュイジーヌ》主宰

Contributor

Yukiko Omori
大森 由紀子

フランス菓子・料理研究家

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