📍 原産地呼称:原産地とテロワールを知るためのカギ
AOC/AOP(PDO)、IGP(PGI)、Vin de France
AOC(Appellation d'Origine Contrôlée:原産地統制呼称)は、特定の地域内で特定の規定に従って生産されたワインであることを示し、品質と伝統的慣行が守られていることを保証するものです。例えば、「Châteauneuf-du-Pape(シャトーヌフ・デュ・パプ)」というAOCは、ローヌ渓谷の特定の地域で生産されたワインで、使用するブドウ品種(グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルなど)や最低アルコール度数などの厳格な規定を守っていることを示しています。AOCは原産地と品質、そしてテロワールとの強い結びつきを保証します。原産地呼称ラベルには、AOCより規制が緩く、より広い地域を対象とするIGPワイン、そしてフランス全土のワインを網羅する最もフレキシブルな分類であるVin de France(フランスワイン)もあります。Vin de Franceであれば、さまざまな地域のブドウをブレンドすることも、より大胆な試みに挑戦することも可能です。
ヴィラージュ名とパーセル名
特定の村やコミューンで生産されたワインには独特の気候や土壌、畑の伝統に由来する特徴が色濃く反映されます。例としては、ブルゴーニュの「シャブリ」やボルドーの「サンテミリオン」などがあります。さらに、ブドウ畑内の特定区画を示すパーセル名(lieu-dit)を指定してユニークなテロワールを表現している場合もあります(例:「シャブリ プルミエ・クリュ モンテ・ド・トネール」など)。このような呼称は、ブルゴーニュの「プルミエ・クリュ」や「グラン・クリュ」、アルザスの区画名といった他の表示と併記されることがあります。ヴィラージュ名やパーセル名を表示したワインは多くの場合、微気候やブドウ畑の特色を体現しています。
Terroir
⏳ ヴィンテージ:収穫年がワインに与える影響
ヴィンテージとは?
ラベルに記載されているヴィンテージ(millésime)は、ブドウを収穫した年を表しています。ブドウの木の状態、ブドウの品質や風味に影響を及ぼす気候条件を反映しているため、収穫年は重要な情報です。
ヴィンテージが重要な理由
ワインの個性は年によって異なります。例えば、温暖な年には円熟した果実味豊かなワイン、冷涼な年には酸味が強くエレガントなワインが生まれます。地域ごとの「ヴィンテージチャート」で当たり年を探すこともできます。例えば、近年のボルドーでは、深みのある複雑な味わいの素晴らしいワインが生まれた2016年と2020年がよく知られています。
ノンヴィンテージワイン
シャンパーニュのように、ヴィンテージの記載がないワインもあります。ノンヴィンテージワインは通常、毎年安定した味わいを維持するために、複数年のブドウをブレンドして造られます。そうすれば、ブドウの出来が年ごとに異なっても、常に確かな品質のワインを提供することができます。
🏅 品質に関する記載などの主な用語
クリュ、グラン・クリュ、プルミエ・クリュ
ブルゴーニュやボルドーで広く使用される用語で、クリュはブドウ畑の格付けを表しています。「グラン・クリュ」は特級、(ブルゴーニュの)「プルミエ・クリュ」はその一段下ながら一級のブドウ畑を指します。いずれのカテゴリーも、数世紀にわたるワイン造りの伝統と評価を反映しています。
Mis en Bouteille au Château(シャトー元詰め)/Domaine(ドメーヌ元詰め)
この表示は、生産者が瓶詰めしたワインであることを保証しています。つまり、生産者がブドウの栽培からワインの瓶詰めまで生産工程全般を管理していることを示す品質管理の証です。
Selection Parcellaire(特選区画)とCuvée Spéciale(特選キュヴェ)
これらの表示は、厳選された区画で栽培したブドウで造ったワイン、もしくは特別なブレンドであることを示しています。いずれの用語も、生産者のプレミアム商品や実験的なロット、あるいはユニークな味わいや手法をアピールする場合に使用されます。
Vieilles Vignes(ブドウの古木)
この用語は古木(通常は樹齢40年以上)のブドウから造られたワインであることを示しています。一般的に、ブドウの古木は収穫量が少ないものの、果実の凝縮感が増し、濃厚で複雑な味わいのワインができます。
Élevé en fûts de chêne(オーク樽熟成)
瓶詰めする前に一定期間オーク樽で熟成させる工程を指します。この熟成プロセスによってワインが樽に接触し、フレーバーやアロマ、テクスチャー、複雑味に影響が生まれます。
Rewards
🍷 アルコール度数:ワインのスタイルを示す値
アルコール度数から分かること
アルコール度数は、ワインのスタイルやボディを知るための手がかりです。一般的に、アルコール度数が低い(12%未満)場合は軽やかで爽やかな味わいのワイン、度数が高い(14%以上)場合はリッチでフルボディのワインになります。アルコール度数は、原産地の気候にも影響を受けます。南仏の温暖な地域では、熟したブドウからアルコール度数の高いワインが生産されています。
🍇 製法や法的事項に関する表示
容量
ボトルの容量(通常は750ml)はたいていラベルに記載されています。これは法律に義務付けられた表示であり、標準化にも寄与しています。
亜硫酸塩に関する表示
欧州では、ワインの品質を安定させるための一般的な保存料として亜硫酸塩を添加した場合はその旨を明記するよう法律で義務付けられています。これは亜硫酸塩に敏感な方にとっては大切な情報となります。
生産者コード
シャンパーニュのラベルには、生産者の種類を示すコードが記載されている場合があります。例えば、RMはrécoltant-manipulant(ブドウ栽培業者兼醸造業者)の略で、ブドウの栽培からワインの瓶詰めまで行う造り手を表します。négociant-manipulant(ネゴシアン兼醸造業者)を略したNMは、他の栽培家からブドウを買い付ける造り手を指します。
有機認証(Agriculture Biologique、略してAB)
合成化学物質や農薬の使用を禁止する厳格な有機基準に沿って栽培されたブドウから造られたワインであることを示しています。ワイン醸造工程でも環境に配慮した手法を守っています。EUの規定に準じて有機認証を受けたワインは、ユニークなロゴマーク「ユーロリーフ」で識別できます。
ビオディナミラベル(Demeter、Biodyvin)
ビオディナミ農法でワインが生産されていることを保証します。ビオディナミ農法は有機農法の進化形で、天然の肥料を用い、太陰暦に従って農作業を行うことでブドウの木の活力を高めるホリスティックな栽培法です。
ナチュラルワイン(Vin Naturel)
ナチュラルワインは、生産工程全般を通して、人の介入を最小限に抑えることに重点を置いています。有機農法またはビオディナミ農法で栽培されたブドウを自然に発酵させ、添加物を一切加えず、亜硫酸塩もほとんど使用しません。
HVE(高環境価値)
この認証は、生物多様性の保全、水資源の管理、植物衛生製品の使用制限、肥料の規制に重点を置いた環境にやさしい農法を評価するものです。ただし、特定の管理下で従来の農法も認めています。
🍷 識豊富なワイン商にラベルを詳しく見てもらい、自分の好みに合った銘柄を教えてもらうこともできますが、フランスワインのラベルの読み方が分かれば、フランスの豊かなワイン文化をもっと堪能することができます。フランスワインのラベルの読み方をマスターしたら、主なブドウ品種について学んで、次のお気に入りワインを見つけましょう!