フランスでも毎年、気温の上昇と干ばつの深刻化による被害に対処するために、農家が工夫を凝らしています…。
2022年の6月、フランスは猛暑に襲われていました。パリでは38℃、フランス南東部のビアリッツでは39℃を記録し、異常な熱波がフランスを襲いました。その期間に、フランスのあちこちで出会った野菜・果物生産者、穀物生産者、ワイン生産者たちは不安を抱えていました。例えば、ウィリアム・ルヴォワル氏がそうです。マルセイユから1時間のアルピーユ地方で活動するこのオリーブ生産者は、普段は近くの川につながる運河から水を引いてオリーブ畑の灌漑に使っています。しかし、昨夏は厳しい水量制限が適用されたため、水を引けなくなりました。収穫に深刻な影響が出たことでしょう。気温の上昇は、この数年で悲しい現実となりました。フランスでの干ばつは、1964年から1990年の13回に対して、1991年から2015年の間では62回が記録されています。
地球温暖化に対処するため、一部の生産者たちは戦略を練っています。フランスの北半分では、ヴェルメンティーノやシラーなど、もともと乾燥や高温に強い南方系のブドウ品種を植えています。エロー県では、生産者のパスカル・プート氏がドライガーデンで有名になりました。8ヘクタールの土地で種に情熱を注ぐ彼は、家畜の堆肥だけを使って、岩の上や低木の中に生えるものを含む、色とりどりの果物を栽培しています。その秘密は? 植物に熱波への自然な抵抗力をつけさせることで、自己調節させることです。フランス西部のシャラント=マリティーム県では、生産者のティボー・ペシャール氏とオリビア・シュケ氏が、ドリップシステムを大切にしながら、かつての農家の技術を永続させています。野菜の列に沿って配置された灌漑用パイプによって、蒸発が抑えられ、また植物に必要な分だけが供給されることで、水の消費量が大幅に削減されます。
フランスの外でも同じ動きがみられます。セネガルでは、ケイダラ・アグロエコロジカル・スクール農場を経営するゴラ・ンディアイユ氏が、砂漠の真ん中でパーマカルチャーの主要原則を環境に適応させて野菜を栽培しています。また、別の自給自足の有機農場を作るためのプロジェクトリーダーの育成にも取り組んでいます。ドイツでは、作家であり、同国におけるパーマカルチャーのパイオニアであるウルリケ・ウィンズペルガー氏が、水資源の節約と最適化の重要性について、野菜・果物生産者を対象に毎年数十回のトレーニングコースを開催しています。アメリカでも同様で、有機栽培の先駆者であるエリオット・コールマン氏が著書の中で、干ばつの深刻化による破壊的な影響を軽減させるため、利用できる水資源(井戸、泉など)に応じて将来の土地を選ぶよう農業を志す人達に呼びかけています。
こうしたアプローチはすべて、フランスをはじめ世界中の農家が持つ、新しい気候条件への素晴らしい適応力を証明するものです。
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