こんにちは、パリのエッフェル塔にありますレストラン「ル・ジュール・ヴェルヌ」でソムリエールとして働いている細川聖香です。今回は、夏のバカンス・シーズンに楽しみたいスパークリングワインをいくつかご紹介していきますね。
パリに近いシャンパーニュ地方へは頻繁に訪問
フランスのスパークリングワインとしてよく知られているのは、やはりシャンパーニュ。繊細でパワフル過ぎない味が、私も大好きです。シャンパーニュ地方へはパリから車で2時間、電車で1時間ほどの距離にあり、パリ在住の私は今まで10回以上訪問してきました。日帰り旅行であっても、中心都市ランスで教会やレストランを巡ったり、シャンパーニュの造り手さんから直に話を聞いたり、ブドウ畑を見学して収穫前のブドウをつまみ食いしたりできますから、いつも「パリに住んでてよかった!」と思っています。さらに今夏は「ルイナール・ソムリエ・チャレンジ2021」フランス大会の優勝者に贈られる研修旅行で出かけることができました。研修旅行では、気球に乗って畑を空から見下ろすこともでき、感激です!
友人同士の乾杯はいつもカジュアルなクレマンで
シャンパーニュのほか、フランスにはお手頃なスパークリングワインとして「クレマン」があります。ジュラやロワールなど各地方で造られているクレマンも、フランス人に大人気。アペリティフ(食前酒)としてそのまま飲むもよし、サラミやチーズ、カナッペ、リエットなどと合わせるもよし。都会のカフェでも、海辺や山で過ごすときも、人と会ったらまずクレマンで乾杯します。この感覚はまるで、日本人にとってのビールのよう。クレマンって、本当に身近でカジュアルなものなんですよ。
グラスや温度を変えると風味も変わる
シャンパーニュやクレマンは、使うグラスによって表情が変わります。私が勤務するレストランでも、シャンパーニュのボトルをオーダーされますと、形状の異なるグラスをお出しすることがあります。まず最初は、細長いグラスに注いでご提供。立ち上る泡を眺め、さわやかな口当たりで喉へと流していただきます。そしてメイン料理と合わせる頃には、ブルゴーニュ型と呼ばれる丸く大ぶりなワイングラスへ注ぎます。すると、今度は複雑で深い風味が広がるんです。銘柄によっては、最初からブルゴーニュ型グラスをお出しする場合もありますし、さらにはあえてボトルをクーラーに入れず、食事中に温度をゆっくり上げて風味の変化を楽しんでいただくことも。
もし家でスパークリングのボトルを開ける機会がありましたら、カクテルにも挑戦してみてはいかがでしょう。クレーム・ド・カシスをスパークリングで割ってキール・ロワイヤル、オレンジ・ジュースを割ってミモザなど、わりと簡単にできるんですよ。1本のスパークリングを、あの手この手で堪能してみてくださいね。
●細川聖香 名古屋マリオットアソシエホテルに勤務後、一念発起をしてフランスへ。パリでソムリエとして働くためのディプロムを取得し、数軒のレストランで経験を積む。2019年、エッフェル塔2Fミシュラン星付きレストラン「ル・ジュール・ヴェルヌ」リニューアル・オープンのタイミングで入社。ワインの知識とテイスティング能力を競う「ルイナール・ソムリエ・チャレンジ2021」フランス大会で優勝。