1847年に初めて板チョコレートが造られ、瞬く間にカカオ市場で重要な地位を占めるようになりました。フランスでは、どの戸棚にも製菓用板チョコレートがないなんてことはありません。
知っておきたいこと
隣国のスイスやベルギーと同様、フランスもチョコレートの技術に関しては長い伝統を持っています。味の面では、フランスのチョコレートがより濃厚で甘みが抑えられています。実際、フランス人は世界第6位のチョコレート消費量を誇り、特にブラックチョコレートを好みます(消費の30%、対してヨーロッパ全体では消費の5%)。誕生からそれほど時間は経過していませんが、板チョコレートは世界のチョコレート消費量の中でもトップに君臨しています。
マヤ人やアステカ人はカカオを使い、非常に苦いスパイスドリンク「ショコラトル」を作っていました。カカオは1528年に、エルナン・コルテスがスペイン王カール5世に献上するために持ち帰りヨーロッパ大陸に広まりました。はちみつを加えることで、チョコレートはスペイン貴族の間で人気の飲み物になりました。フランスがチョコレート(ドリンク)の存在を知ったのは、1615年、ルイ13世とスペイン王女アンヌ・ドートリッシュとの結婚式においてでしたが、その後ルイ14世とその王妃マリー・テレーズ・ドートリッシュが、ヴェルサイユ宮殿に定着させました。チョコレートは貴族だけが楽しむことのできる流行の飲み物になり、1671年、チョコレートドリンクショップ1号店が開店しました。
18世紀に入ると、少しずつチョコレートは大衆の手に届くようになりますが、ヨーロッパでチョコレートの有名店が生まれ、製造が産業化されて人々が楽しめるようになるのは19世紀になってからでした。イギリス人のフライ兄弟は1847年に初めて、カカオパウダーとカカオバターに砂糖を混ぜて固形(板)チョコレートを造りました。板チョコレートは今日でもこのように造られています。まずカカオの木からカカオの実を収穫し、カカオ豆を取り出し、発酵、乾燥させます。チョコレート製造者はカカオ豆を焙煎し細かく粉砕します。この工程でカカオマスが抽出されます。カカオマスとは糖分のない純粋なチョコレートで、約20%の脂肪分を含みます。プレスにより、この脂肪分(カカオバター)と非脂肪分(ココアパウダー)を分離します。 次に、チョコレートの口当たりを滑らかにするために、カカオマスに砂糖とカカオバターを加え80℃まで加熱する「conchage(コンシャージュ)」という工程の後、攪拌します。その後型に入れ、板チョコレートができあがります。
チョコレートのクオリティと味はカカオの含有量(製品中に含まれるカカオマスの割合)によって変化しますが、またカカオ豆の焙煎やその原産地によっても変わります。
「製菓用」チョコレートは塊ができず瞬時に溶けるように造られています。舌の上でゆっくり溶けるように造られている普通の板チョコレートと比べ、製菓用チョコレートはカカオバターをより多く含みます。このため、料理には必ず製菓用チョコレート(またはデザート用チョコレート)を使わなければならないのです。
ブランドやショコラティエによって異なりますが、カカオの含有量は35%~70%です。それ以上ではデザートに使うには苦みが強く、バランスが悪くなってしまいます。
特筆するべきこと
視覚的に
味覚的に
栄養面のメリット
脂肪分と糖質の含有量はもちろんのこと、ブラックチョコレートはマグネシウムとカリウムも多く含みます。また鉄分、亜鉛、銅、マンガンも含みます。
編集後記
利用方法
保存
乾いた適温の環境で、強い臭いのものから遠ざけて保存します。湿気と冷気がチョコレートの質感を損ねるため、冷蔵庫での保存はおすすめしません。
お召し上がり方
チョコレートをしっかり溶かすには、ボウルまたはサラダボウルにチョコレートを入れ、4分の1までお湯を張った鍋の上で弱火の湯煎にかけましょう。この時ボウルにお湯が入らないように注意します。
味わい方
製菓用ブラックチョコレートはケーキ、チョコレートソース、アイスクリーム、ムースなど、あらゆる製菓に使えます。
とのペアリング
甘いものと:シナモン、エスプレット(唐辛子)、洋ナシ、クルミ、フルール・ド・セル(大粒の天日塩)、フランボワーズ。
塩味のものと:ワインソースにひとかけ(特にブフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮))加えます。
ドリンク類と:AOCモーリー、AOCバニュルス、AOCヴーヴレモワルー、AOCモンルイモワルー 。