フランス東部のフランシュ=コンテ地方でモンベリアールソーセージと並び称される代表的なシャルキュトリー(食肉加工品)。この真っ直ぐなめらかな円筒形のソーセージは、豚肉の脂身の少ない部分と多い部分を粗みじん切りにしてから針葉樹でスモークしたもの。年間を通じて入手できる個性豊かなこの製品はIGP(地理的表示保護)とラベルルージュの認証を取得済み。これ以上何を望めるでしょう!
知っておきたいこと
モルトーソーセージの歴史は「チュエ」の歴史と深い関わりがあります。「チュエ」とは家の中央にある高さ12~15メートルのピラミッド型フードのような大型の煙突で、16世紀頃フランシュ=コンテ地方の多くの農家に設けられていました。その昔、チュエは自家製の塩漬けの燻製など、厳しい冬を乗り切るための保存食作りに欠かせないものだったのです。この地を行き交う商人や旅行者の間でモルトーソーセージの人気が高まると、それまで地元に限られていたその評判は次第に他の地域へと広まっていきます。2010年に取得したIGPは新たな転機となり、これによりモルトーソーセージの製造技術が明確に定められました。
まずホエーで飼育したフランス産豚肉の脂身の少ない部分と多い部分をカットして選別、これを混ぜて粗みじん切りにし、よく捏ねて調味します。続いて無着色の腸の中に混ぜ合わせた肉を手作業で詰め、木製の留め具で固定。
これを普通のオーブンなら6時間、「チュエ」であれば24時間かけて針葉樹で燻製して出来上がり。より厳格な仕様が要求されるラベルルージュの場合には使用する豚肉もラベルルージュに限定され、味付けは塩コショウのみ、チュエで48時間以上燻製しなければなりません。好みに合うかどうか、ぜひお試しを!
特筆するべきこと
視覚的に
真っ直ぐなめらかな円筒形で、琥珀色。
木製の留め具で先端が固定されています
触覚的に
柔らか
味覚的に
とてもバランスの良いスモークの風味が後を引きますが、苦味はありません
編集後記
« クリスマスにはもうひとつのモルトーソーセージ「ジェジュ・ド・モルトー」が食卓に並びます。こちらも円筒形ですが外観はでこぼこで、その直径は65 mm以上。
思い切って挑戦してみては? »