肉質に優れ、風味豊かで旨味が濃いフランス産マグレ・ド・カナール

Von Tsuyoshi Murakami

マグレ・ド・カナールは、フォアグラの生産のために育てられた鴨の胸肉です。フォアグラは、鴨や鵞鳥を肥育して生産しますが、特に肉質に優れた鴨は、フォアグラのための肥育によってよりおいしくなります。特に脂が上質で風味が良く、肉質も赤身でしっかりしており、濃い旨味があります。肉そのものの味わいが強いので、まずは、塩、コショウだけで焼いて、レアに近い状態に仕上げ、マグレ・ド・カナールの味わいを楽しみましょう。

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フランスでは、南西部の地方でフォアグラの生産が盛んですので、マグレ・ド・カナールも南西部産がよく知られています。例えば、トリュフやフォアグラの産地として有名なペリゴール地方では、このマグレ・ド・カナールもIGP(地理的表示保護)の認証を受けており、質の高さで知られています。

 マグレ・ド・カナールを焼く時は、脂が多いので、皮目からしっかり焼いて、おいしい脂を残しながら、じっくり時間をかけて焼きます。出てきた脂を全体に回しかけ、風味良く焼き上げます。その脂で、季節の野菜などを一緒に焼けば、野菜にもマグレ・ド・カナールの風味が移り、おいしく味わえます。余分な脂は、別の器に取り置けば、他の料理に使うこともできます。

 おいしくいただくためには、鴨に限らず、どのような肉でも、常温にしてから焼くようにしましょう。忙しい時には、なかなかそうもいかないかもしれませんが、肉は常温にしてから焼くことをできるだけ心がけてほしいと思います。

 フランスの食肉類は、焼いて料理されることを主に考えられており、肉質はどれもしっかりしています。特にAOP(原産地保護呼称)やIGP、ラベル・ルージュなどの認証を受けている高品質のものは、豊かな風味と深い味わいが楽しめます。

 今回の「日本の香り、マグレ・ド・カナール」の料理には、アニスのリキュール、パスティスを使ったソースを合わせましたが、アニスの甘い香りなど、香り高いものが、マグレ・ド・カナールの風味をより豊かにしてくれます。

 和風に仕立てるのであれば、鴨鍋にしてもおいしくいただけます。薄切りにしてサッと火を入れ、ポン酢で味わえば、さっぱりとしていて、しかも旨味の濃い鴨肉の味わいが楽しめます。照り焼き風にしても良いでしょう。

 フランスの食材だから、フランス料理にしなければならないというものではありません。和風の煮物などに使っても、おいしく味わえます。

(アニスシェフ清水氏インタビューにより記事構成)

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