国家最優秀職人章(メイユ・ウヴリエ・ド・フランス):100年にわたるフランス料理人の匠の技

「国家最優秀職人章(M.O.F.)」は、フランスの伝統と匠の技を受け継ぐ、ごくわずかな職人に与えられる称号です。       

Meilleur Ouvrier de France

ジャック・トレス、ポール・ボキューズ、アラン・デュカスなど、選ばれし人気フレンチシェフが「国家最優秀職人章(M.O.F.)」の称号を獲得しています。フランスの職人にとって、これは自身のキャリアにおいて達成できる最高の栄誉の一つです。

 

「M.O.F.」は、木工から園芸栽培、ヘアスタイリングから剥製制作まで、幅広い分野の工芸の卓越した技巧を称えるものです。しかし、「M.O.F.」の受章者の中で最もよく知られて、評価されているのは、やはり料理部門のシェフやパティシェ、パン職人、精肉職人、ショコラティエです。彼らは、フランス料理の技巧を極めることにその人生を捧げています。

 

国家最優秀職人章(M.O.F.):完璧の追求 

M.O.F.は、フランスの伝統と技巧を守り、評価することを目的として、1924年に創設されました。それ以来、この称号は完璧さの代名詞となり、100年の歴史において料理部門で受章したのは、わずか200名ほどとなっています。

M.O.F.に必要なものとは?それは強い意志です!M.O.F.のコンクールは、高度な知識と的確性を求められるため、参加を目指すシェフは、それに向けて何年も準備します。このコンクールは4年ごとに開催され、挑戦者はそれぞれの年の審査員が指定する独特な課題に取り組みます。例えば、料理人は高度な技術が要求される料理3品を5時間の制限時間内に仕上げなければならず、時間配分、技術、機転などが審査されます。料理の審査は、40名の高名なシェフ(ジョエル・ロブションやエリック・フレションなどの錚々たる大物)からなる審査員チームが行います。審査では絶対的な完璧さが求められます。つまり、これはフランス料理界のオリンピックともいえるものです!

 

シェフの最高峰に立つ 

最終的に、M.O.F.の称号を得られるのは、一握りのシェフのみです。勝者は、ソルボンヌ大学構内で行われる授章式でメダルを授与され、その後フランス大統領も出席するパーティーに招待されます。

M.O.F.の称号はさらなるキャリアアップに繋がりますが、多くのシェフは職業上ではなく、個人的な目標ととして、これに挑戦しています。彼らは聖杯のごとく、経験や鍛錬、献身を通じてこの称号を追い求めるのです。著名なM.O.F.受章者であるギイ・ルゲイは、「シェフが望むのは二つだけ―ミシュランの三つ星を獲得することと、M.O.F.を受章することだ」と述べています。いずれも非常に名誉あるものですが、ミシュランの星は毎年取り消される可能性があるのに対し、M.O.F.は一度授与されると生涯保持できます。この称号を獲得する者は、神聖な伝統の一部となります。フランス伝統の代表者・技巧の保持者というだけでなく、自身の知識や技術を次世代に継承していくことが期待されるのです。

 

M.O.F.はどこに 

M.O.F.を受章したシェフは、その多くが有名なレストランで働いています。しかし、パン屋や精肉店、チョコレート店にもいることを覚えておいてください。フランス国内でM.O.F.を見つけたい場合は、ウェブサイトの一覧で探してみてください。

M.O.F.を受章したシェフはひと目で分かります。それは、メダルを下げて歩いているからではありません。受章者には、赤、白、青の襟の付いたコックコートを着ることが許されているからです。フランス国旗を象徴するM.O.F.のトリコロールの襟は、非常に権威のあるものと見なされ、資格のない者がそれを着用すると懲役刑に処せられる可能性もあります!

このようにM.O.F.のコンクールと称号は、フランスの文化と伝統の重要な一部となっています。フランス料理に情熱を傾ける職人にインスピレーションを感じたら、自宅のキッチンでフランスの伝統料理にチャレンジしてみてください!

 

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