
オート=サヴォワの山岳地帯とサヴォワのアルリー谷でつくられる、低温殺菌されていないチーズ。ルブロションには、アボンダンス種、モンベリアル種、タリン種という3種の牛の生乳のみを使用します。
小さな円盤型(直径9 cm/13~14 cm)で外皮は薄く、ヘーゼルナッツのような風味のクリーミーなチーズで、一つひとつに赤または緑のカゼインマークが付いています。生産量が年間1万6千トンとフランスで2番目に多いAOPチーズです。
知っておきたいこと
このサヴォワ地方の伝統的なチーズは13世紀に誕生。1958年に原産地統制呼称(AOC)、1992年には保護原産地呼称(PDO)に認定されました。現在は、指定地域にある620の農場でルブロション用の牛乳が生産されています。
名前の由来と裏話
中世後期、サヴォワ地方の農家は「オシエージュの権利」と呼ばれる税金を支払うことで、放牧を行うことが認められていました。その税額は飼っている牛が1日に生産するミルクのポット数を基準に決められていました。地主は年1回この税金を徴収しますが、その日だけは農家がわざと搾乳量を減らし、徴税人が立ち去った後に残りの乳を搾っていました。二度目に絞った牛乳は乳脂を豊富に含んでいるため、チーズづくりにぴったりです。こうして、賢い農場主は税額を抑えながら、美味しいチーズをつくることになりました。
ルブロションという名称は「re-blocher」(牛の乳をもう一度絞る)という言葉に由来しています。
製造方法
ルブロションに使用する牛乳は、加熱も低温殺菌もされません。これにレンネットを加えると、1時間以内に牛乳が凝固します。こうしてできた凝乳(カード)を手作業またはカードスライサーで小麦粒ほどの大きさに切り刻み、型に入れます。カゼインマークを付けたら、型に重しを乗せて数時間圧搾し、余分なホエーを抜きます。水切りが終わったら1~2時間塩水に浸してから、乾燥室で毎日表裏を返しながら、約1週間寝かせます。乾燥が終わると外皮を洗い、貯蔵室に移して18日以上熟成させます。農家でつくられるチーズの中には、40日間熟成させるものもあります。
2タイプのルブロション
フェルミエとは、飼育した牛の乳を使用して、農家が製造したものです。農場で1日2回、搾乳直後にすべて手作業でつくられます。ルブロション・フェルミエには緑のカゼインマークが付いています。
レティエとは、複数の農家から集めた牛乳を使用して、協同組合またはチーズ工場で製造したものです。このチーズは1日1回、搾乳から24時間以内につくられ、カードスライサーを使用して製造工程が自動化されています。
特筆するべきこと
視覚的に
触覚的に
味覚的に
栄養面のメリット
カルシウム、タンパク質、ミネラル、ビタミン、必須脂肪酸を含む。
編集後記
利用方法
とのペアリング
ジャガイモ、カボチャ、マッシュルーム、加工肉、クルミパン、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ。ワインを合わせるなら、アプルモン、ルーセット・ド・サヴォワ、シニャン・ベルジェロンなどのサヴォワワインをお試しください。