樹々の葉が赤や黄色に移り変わると、自然豊かな郊外や公園へお出かけしたくなります。暖かく穏やかな小春日和を狙い、ピクニックを堪能してみてはいかがでしょう。お供には、ちらし寿司とシャンパーニュを。気分が上がること間違いナシのペアリングです。
紅葉の色はワインの色と共通
紅葉は、樹が冬支度を始めた合図。でも、なぜ葉っぱは赤くなるの?……じつはこの赤、赤ワインの赤色とも共通しているのです。葉っぱの緑色を造り出しているクロロフィルが分解されていく一方、カエデなどの樹では赤色のもととなるアントシアニンが増えていきます。アントシアニンと言えば、赤ワインの原料である黒ブドウの果皮にも含まれるポリフェノールの一種。紫外線を吸収して太陽光からのダメージを防ぐ成分です。なお、アントシアニンが造られない種類の樹の場合、葉っぱには黄色の成分がもともと備わっているので、緑色のクロロフィルが消えると自動的に黄色が目立つという仕組みです。そういえば白ブドウも、熟すにつれ青い実から黄色い実へと変わっていきますよね。
シャンパーニュは「ゆっくり飲み」に最適
そんな紅葉のナゾを知った上で飲みたくなるのは、黒ブドウと白ブドウをブレンドしたワイン。代表的なものが、シャンパーニュです。「黒ブドウと白ブドウを混ぜたらロゼ色になる?」と思われるでしょうが、ロゼ・シャンパーニュでなくとも黒ブドウは頻繁に使われているんですよ。というのも、ピノ・ノワールなどの黒ブドウを優しく潰して白い果汁だけを抜き取れば、ワインの色はクリアなままなのです。さて、シャンパーニュの大きな特徴は、時間が経っても細かい泡が長く続いてくれること。炭酸がしっかりワインに溶け込んでいるので、炭酸ジュースのようにすぐ気が抜けたり、大きく荒い泡が立ったりしません。風に吹かれながら紅葉を眺め、時間を気にせず飲むシチュエーションに最適ですよ。
ちらし寿司をツマミ兼シメに
スパークリングワインのなかでも、深みのある味わいでリッチな気分が味わえるシャンパーニュですから、合わせる料理もちょっぴりランクアップを。さほど手間をかけずゴージャスな印象を持つ料理の好例が、ちらし寿司です。レシピは簡単、好みの刺身を酢飯の上へのせるだけ。具はサーモンとイクラだけでシンプルにまとめてもいいですし、パプリカやアボカド、さらには柿などをあしらっても。具の部分をつまみながらシャンパーニュを喉へ流し込むと、シャンパーニュの繊細な泡が魚介の生臭さを洗い流してくれます。後半から酢飯に進むと、今度は米の甘みが果実味あるシャンパーニュにピッタリ! さあ、今年ラストの紅葉狩りピクニックでリフレッシュとまいりましょう。