AOP(原産地保護呼称)ミュスカデは、繊細でフルーティな辛口白ワインで、シーフードの盛り合わせのお伴として古くから親しまれています。生産地は、大西洋からアンジュ地区の手前まで、ロワール川とヴァンデ川の間に広がります。
知っておきたいこと
ミュスカデは、「ムロン・ド・ブルゴーニュ」種から作られる世界でただ一つのワインです。ムロン・ド・ブルゴーニュは、今日では絶滅してしまった「グエ・ブラン(別名グアイス・ブラン)」種と「ピノ・ノワール」種の交配により生まれた品種です。紀元1世紀にはすでにナント地方でぶどうが栽培され、キリスト教とともに広まりました(ワインは礼拝に使用されていました)。ミュスカデという名前が現われたのは1635年のことですが、フィロキセラ禍に見舞われた後、生産方法が再構築され、品質が向上しました。1937年には原産地呼称認定を受けており、フランスで最も古いアぺラシオンの一つに数えられています。ミュスカデの中には、滓(おり)を残した状態で醸造され、半年から2年、ものによっては4年間も寝かせるものもあります。滓は糖分をアルコールに変える酵母の役割を果たします。滓との接触により、ワインにアロマの豊かさ、複雑さ、ヴォリュームが加わり、熟成能力を持つワインとなります。ミュスカデのテロワールの多様性(多様な土壌の構成および海が及ぼす様々な影響)、滓引きの有無、ある程度の長さの熟成期間を経ることにより、非常に幅広いアロマが生まれます。
この多様性から、ミュスカデの真骨頂である、コミューン名を付記したワイン「クリュ・コミュノー」が生みだされ、そのテロワールの素晴らしさを表現しています。クリュ・コミュノーは厳選された区画から、厳しい仕様(収量制限、樹齢6年以上、熟度の高いぶどうの収穫、最低18~24ヶ月の滓の上での熟成)に沿って生産され、ストラクチャーがあり、エレガントで複雑、素晴らしい熟成能力を持っています。グラン・クリュのような白ワインにも匹敵する、グルメ料理のお伴に最適なワインです。今日、以下10のコミューン名を付記したクリュ・コミュノーが認められています:
力強く豊潤な「クリッソン」、24~40か月滓の上で熟成され、余韻が長く続く「ゴルジュ」、しなやかで豊かな味わいが特徴の「ル・パレ」、エレガントでバランスの良い「グレ-ヌ」、36~48か月滓の上で熟成され、繊細な植物のアロマを放つ「シャトー=テボー」、複雑でハリのある「ムジヨン=ティリエール」、肉付きが良くクリーミーな「モニエール=サン・フィアクル」、エレガントで表情豊かな「ラ・エ=フアシエール」、リッチでエレガントな「ヴァレ」、シルキーで肉付きが良い「シャントソー」
特筆するべきこと
香り
視覚的に
味覚的に
利用方法
ミュスカデの保存と熟成
ミュスカデ・ワインは2~5年が飲み頃ですが、最高のワインでは、より長い熟成が行われます。したがって、コミューン名表記を冠したワイン(クリュ コミュノー)は、若い段階でも、また地下室で10年熟成させ、香りの複雑さと豊かさを楽しむこともできます。
ミュスカデのワインのお召し上がり方
9から11°Cで、またコミューン名表記を冠したワイン(クリュ・コミュノー)は12°Cでご用意ください。開栓から1時間以内で、お召し上がりの前に、短時間カラフェに入れてお楽しみください。
ミュスカデのワインの味わい方
丸いグラスに入れて、淡い金緑色と、ホワイトフラワーの芳香をお楽しみください。その名前の由来であるマスカットの芳香が際立ちます。
コミューン名表記を冠したワイン(クリュ・コミュノー)は、開栓から1時間以内で、お召し上がりの前に、短時間カラフェに入れてお楽しみください。
とのペアリング
ミュスカデは牡蛎を始めとしたシーフードに合わせるのが理想的です。
ウナギの薫製やイワシ、ローカルチーズ「キュレ・ナンテ」とも非常によく合います。
コミューン名を付記した「クリュ・コミュノー」は、魚介料理や鶏肉のクリーム煮、熟成チーズ(ハードタイプの山羊チーズ、ボーフォール、キュレ・ナンテ)など、より手の込んだ料理との相性が良好です。