世界中にその名を知らしめる AOC シャトーヌフ・デュ・パプ。質の高い赤ワインと白ワインを作るこの地の生産者たちは、細心の注意を払ってその誉れ高い原産地の管理と保護に携わった先駆者でした。
知っておきたいこと
ガラス表面に型押しされた教皇の紋章が特徴的なシャトーヌフ・デュ・パプのボトル。この地域のブドウ栽培はガロ=ロマン時代(紀元前3~5世紀) まで遡りますが、ワインの産地として知名度が高まったのは教皇らがきっかけだと言われています。ワインの生産が本格的に開始されたのは、カオールからアヴィニョンにぶどう農家を呼び寄せた教皇ヨハネ22世の時代でした。シャトーヌフ・デュ・パプ に要塞を建設して夏の別荘としたヨハネ22世は、地元で生産されたワインを「教皇のワイン」と呼び習わし、実際に教皇邸の食卓に届けさせていました。こうしてシャトーヌフ・デュ・パプ は世界的に高い評価を得ていったのです。宗教戦争が始まるとワインの発展も鈍化しましたが、18世紀に再び回復しました。
シャトーヌフ・デュ・パプ のワインは、フランス全土はもちろん、ドイツやスペインにも広まっていき、ルイ16世の食卓に供されたこともあります。1776年に初めてワインを瓶詰めし、真の革命を巻き起こしたシャトーヌフ・デュ・パプ はその数年後、アメリカにも普及し始めます。全盛期を迎えた1860年、フィロキセラ虫害によってブドウ畑は壊滅的な被害を受けましたが、ルロワ男爵の主導の下、新種のブドウの栽培やワインの品質保証のための協力など、さまざまな対策を実施して対応しました。1897年には初のワイン生産者共同組合を設立、その後1923年にSyndicat des Propriétaires Viticulteurs de Châteauneuf-du-Pape(シャトーヌフ・デュ・パプ ワイン生産者協同組合)に改組し、原産地の名を守るために厳しい生産ルールを設定しました。こうした取り組みは、ルロワ男爵が代表を務めたINAO(フランスの国立原産地・品質研究所)の原産地呼称統制確立のモデルにもなっています。そして1936年、シャトーヌフ・デュ・パプ はワインとして初のAOC認証を獲得しました。
シャトーヌフ・デュ・パプ のテロワールが位置するコート・デュ・ローヌ南部は、砂利質土壌や砂質土壌の他、赤粘土層の上に同地特有の丸い小石の層が形成された土壌など、多様な土壌を有しています。この小石が日中に吸収した熱を夜にブドウ畑へと放出することでブドウが熟していきます。また、暑く乾いた地中海性気候もブドウが熟する助けとなります。一方、冷たい北風が虫害などからブドウを保護してもいます。個性的なワインを生産するシャトーヌフ・デュ・パプ で生産されている指定ブドウ品種は13種類。最も多く栽培されているのは、このテロワールと相性の良いグルナッシュで、次にシラーとムールヴェードルが続きます。生産されるワインの93%は赤ワイン、残り7%は白ワインとなっています。
特筆するべきこと
香り
視覚的に
味覚的に
編集後記
利用方法
保管期間
赤ワイン:5~20年
白ワイン:1~10年
適した温度とワイングラス
赤ワイン:16 °C ~ 18 °C
白ワイン:9 °C ~ 10 °C
大き目のワイングラスでお楽しみください。
とのペアリング
赤ワイン:ジビエ、キャセロール、グリル肉料理、マッシュルーム
白ワイン:蟹、ロブスター、魚のグリル、白身肉